葬儀にかかった費用は、加害者(保険会社)に請求できる!

人の命が失われたこと、今後手に入れるはずだった収入が失われたことなど、死亡事故によって人が亡くなるとたくさんの損害が生まれます。

損害を被った故人の遺族は、受けた被害を誰かに賠償してもらわないと損をする一方ですよね。

なので、被害者遺族は事故の加害者に対して、受けた損害に見合うだけのお金(慰謝料など)を請求できるようになっています。これが、事故後に行う損害賠償請求です。

損害賠償請求は民事の争いなので、金額は加害者や相手が加入している保険会社と話し合って決めていきます。ただ、これまでの裁判所の判例やデータの積み重ねなどから、「これは請求できる」「これは請求できない」といった基準が決まっています。

故人の葬儀にかかる費用は、損害賠償請求の一部として認められています。

ただしいくら被害者とはいえ、「客観的に妥当でない高額なお金」を請求することはできません。

損害賠償請求をするためには「葬儀費用はどこまで認められるのか」「いくら請求できるのか」という知識が不可欠です。

今回は、損害賠償請求の一部に含まれている「葬儀費用」の請求項目や、いくら請求できるのかを説明していきます。

葬儀費用として請求できるもの、できないもの

葬儀に必要な費用といっても、細かくみればいろいろありますよね。

損害賠償請求ができる葬儀費用の内容は、

  • 遺体の運搬にかかる費用(病院から斎場へなど)
  • 火葬場に払うお金
  • 葬儀社に払うあれこれの費用(葬儀をあげるために必要なもの)
  • 僧侶に渡す読経料や戒名料、お布施
  • 墓石や墓地の用意にかかる費用
  • 四十九日などの法要にかかるお金

となっています。

ざっくり説明すると、「故人が亡くなった直後の葬儀から、四十九日など近いうちに行う法要にかかる費用」は大体請求できます。3周忌など、時間がたってから行う法要のお金は請求できません。

また、香典返しはいただいた香典から返すものなので、請求しても認められません。

請求できる金額には限度額があるって本当?

葬儀にかかる費用は、故人の社会的な立場や交友関係、遺族の考えで大きく変わります。参列者が10人の葬儀と1000人の葬儀では、かかる費用は文字通りけたが違ってくるわけです。

人によって金額が違うものを全部認めてしまったら、例えば「参列者は10人だけど、会食の費用は1人あたり10万円! 葬儀もこれ以上ないくらい豪華にしよう!」なんて請求まで認めなければならなくなってしまいます。

損害賠償請求というのは「受けた損害に対して適正な金額の賠償を相手に請求する」ことですから、適当な内容の請求ではいけません。

そのため、基準として「最低限これくらいの金額は葬儀にかかるので、これだけ請求できるようにしよう」という金額、限度額が決められています。

なお、葬儀費用の限度額は「自賠責基準」なのか「裁判基準」なのかによって変わります。

細かいことはさておき、自賠責基準とは「事故被害者の受けた損害を補償するために必要な、最低限のライン」であり、裁判基準は「実際に裁判をして争うと大体このくらいの金額は認められる、という現実的な金額のライン」のことです。

相手側の保険会社の人から提示される限度額が自賠責基準、こちらが裁判も辞さない気持ちできちんと主張すれば請求できる限度額が裁判基準、と考えてもらえればわかりやすいでしょう。

自賠責基準の葬儀費用は「60万円~100万円」

自賠責保険は、加害者が無保険でも事故被害者が泣き寝入りしなくて良いように存在する強制加入の保険です。

なので、ありとあらゆる補償額は必要最低限になっています。

自賠責基準で認められる葬儀費用は、基本が60万円、最大でも100万円。

例え実際に150万円かかっていようとも、自賠責基準で考えると100万円までしか請求できません。

裁判基準の葬儀費用は「150万円」

裁判基準はちょっと限度額が違います。

日弁連交通事故相談センターが作っている、東京地裁の判例をまとめた「赤い本」と、全国の裁判所の判例をまとめた「青本」でも若干の違いはありますが、実際に裁判をして認められる葬儀費用の相場は大体150万円です。

とはいえ、ものすごく社会的地位が高い人や部下が大勢いる人など、特別なケースで葬儀が大掛かりになる場合は、150万円以上の請求が認められることもあります。

損害賠償請求に備えよう

事故後に行う加害者(もしくは保険会社)との損害賠償請求で請求できる葬儀費用について説明しましたが、ここでとても大切なことを一つお伝えします。

それは、「きちんと請求して賠償してもらうために、実際に葬儀にいくらかかったという証拠を必ず取っておくこと」です。

なんとなく「○万円くらいだったからこれで請求しよう」では裁判をしても認めてもらえません。

葬儀社からもらった領収書など、かかった実費を客観的に証明できる証拠はすべて残しておきましょう。

ちなみに、「実費<限度額」の場合、かかった実費までしか請求できないので要注意です。