一家の大黒柱が亡くなって生活費が足りない・・・そんなときの「仮渡金請求」

交通事故でちょっとケガをしただけでも、生活には大きな支障をきたしますよね。

なので当然、被害者が亡くなる死亡事故の場合、事態はさらに大変になります。

あまり気分の良い話ではありませんが、死亡事故で世帯主が被害者になった場合、残された家族や親族によほどの金銭的な余裕がない限り、生活費がなくなり生活が苦しくなってしまいます。

葬儀は一般的なレベルでも数十万から100万円以上のお金がかかりますし、毎月の収入も途絶えます。

旦那さんが亡くなって、専業主婦の奥さんと幼いお子さんが残されてしまったら、奥さんは簡単に働きに出ることもできないので生活費の工面も難しい。

大切な人が突然奪われたショック、生活費が足りなくなっているという危機的状況、保険会社や警察とのやりとりに、遺産だ名義の変更だといった煩雑なやりとりの数々・・・そんな状況をなんとかするために用意されている被害者救済制度が、今回ご紹介する「自賠責保険の仮渡金」なのです。

貧すれば鈍すという言葉もあります。事故後に容赦なく訪れるたくさんの問題のうち、遺族の生活を助けてくれる仮渡金制度について知っていきましょう。

自賠責保険とは?

そもそも、自賠責保険とはなんなのでしょうか?

自動車は数トンもの重量がある物体です。大きくて重い金属製の物体が、時速数十キロというものすごい速度で移動する以上、事故が起きると被害が大きくなってしまいますよね。

被害者は加害者に損害賠償請求をすることができますが、民事の請求は「お金がない人からは取れない」というスタンスなので、被害者だけが泣き寝入り、なんてこともありえるわけです。

そのため、被害者が泣き寝入りしなくて良いように、「自動車に乗る人は強制で加入する、被害者補償のための保険」がつくられました。

これが、自賠責保険です。

示談交渉や裁判をして金額を決める損害賠償請求は、実際にお金がもらえるまでに相当時間がかかってしまうので、被害者遺族の生活費が足りなくなることも十分考えられます。

そこで、事故の度合いによって請求すればすぐにもらえるお金、「仮渡金」という制度が用意されているのです。

「仮渡金請求」をするといくらもらえるのか

仮渡金については、きちんと法律でその内容や請求の権利が決められています。

事故で人が亡くなった場合、仮渡金は「亡くなった人1人につき290万円」となっています。

葬儀費用と当面の生活費としての金額です。

なので、もし死亡事故ではなく被害者がけがをした事故の場合、仮渡金は5万円、20万円、40万円といった金額になります。

仮渡金請求に必要な書類と手続きの方法

仮渡金の請求をするために、必要な書類や手続きについてここでまとめます。

ちなみに、仮渡金も「交通事故死|給付金制度を利用して生活を乗り切る」や「交通事故死|所得税や相続税がかからない「遺族年金」」で紹介した各種の給付金と同様、遺族が自分で手続きを行い、請求しなくてはもらえません。

仮渡金請求の手続きは、加害者が入っている保険会社に対して行います。

必要な書類は、

  • 仮渡金支払請求書(保険会社に連絡すればもらえます)
  • 死亡診断書もしくは死体検案書(病院か警察で発行してもらいます)
  • 交通事故証明書(自動車安全運転センターでもらえます)
  • 事故発生状況報告書(警察などでもらえます)
  • 戸籍謄本(役所でもらえます)
  • 印鑑証明書(役所でもらいましょう)
  • 委任状(遺族が複数いて、代表の人が仮渡金の請求をする場合のみ必要)

です。

おおよそ、公的機関に発行してもらわなければならない書類以外は、請求先の保険会社の人にいえばもらえます。

必要書類さえ揃ってしまえば、手続きの方法はとても簡単です。

記入した書類を保険会社に提出すると、だいたい1週間ほどで指定した金融機関の口座にお金が振り込まれます。

「当座の生活費」のために示談を早める必要はない

死亡事故は、ちょっとしたけが程度の人身事故と違い、損害賠償の金額が莫大になります。数千万円どころか、億の金額になることもしばしばです。

詳しいことは省きますが、賠償額というのは事故が悪質であればあるほど金額も上がりますし、相手の保険会社はたくさんお金を支払わなければなりません。

なので、保険会社の担当者や加害者は少しでも賠償額を下げるため、事故でショックを受けている遺族にあの手この手で交渉をしてきます。

一旦示談や裁判が決着し、書類に判をつけばそれ以上の慰謝料や損害賠償は請求できなくなってしまうので、「当座の生活費が足りなくて困っているから早々に示談を済ませてしまう」のは避けましょう。

仮渡金のことを知っていれば、当座の生活費は工面できます。

必要書類を準備して、請求してしまえば1週間ほどで金銭的な余裕ができますので、生活を安定させたうえで各種の手続きや交渉に臨みましょう。