加害者が逮捕されてから、刑事裁判を受けるまで

死亡事故の加害者は、民事と刑事の両方で裁かれます。

事故のあと、遺族が葬儀や相続、故人の死亡に伴う手続きに奔走しているあいだ、加害者はどういうふうに過ごしているのか。

その答えが、刑事裁判です。

事故のあと、加害者は通報を受けてやってきた警察に逮捕されます。場合によって、逮捕されないこともあります。

警察は加害者の取り調べを行い、証拠を集め、48時間以内に加害者を「検察」を引き渡します。

聞いたことがあるという方も多いと思いますが、警察から検察へ送られることを「送検」と呼び、加害者が暴れたり逃げたりする様子がない場合は、一旦身柄を解放して書類だけを検察に送る「書類送検」となるわけです。

加害者の身柄や捜査の内容を受け取った検察は、しかるべき処分がどんなものかを考えます。

懲役が良いのか、本人は悪くないので罰則はいらないのか、罰金刑くらいが良いのか、といったことですね。

検察が加害者を「起訴」すれば、刑事裁判によって事故をつまびらかにして、裁判所で最終的な判決を決めることになる、というわけです。

刑事裁判はどのように進むのか

裁判の流れは、ある程度わかっていれば良いです。

刑事裁判は大まかに、

  1. 冒頭手続き(だれの、どんな事件に対する裁判なのかを確認する裁判の下準備)
  2. 証拠調べ手続き(検察や弁護人が証拠や証人を提出し、加害者の過失を調べる議論)
  3. 論告や求刑、判決(②の議論を受けて最終的にどんな判決がふさわしいか、裁判官が判決を出す結論)

という流れで進んでいきます。

ちなみに、刑事裁判では、

  • 裁判官=判断をする人
  • 検察=原告(加害者の罪を指摘する人、つまり訴えた側です)
  • 加害者=被告人(原告である検察から罪を指摘され、訴えられている側です)
  • 弁護人=被告人を弁護する人、お金がない場合は国が選んだ国選弁護人がつくことも
  • 証人=加害者の親族や事故の目撃者など、事実関係をはっきりさせるために裁判に呼ばれる人たち

がいます。

裁判が良くわからないのは、ことばが難しいからです。上記のことばがわかっていれば、大体理解できます。

①冒頭手続き

人定質問

違う事件の被告人を呼んでいたりしては大変ですから、裁判官が加害者の名前や住所などを確認します。

起訴状の朗読

被告人を確定させたら、検察官は「加害者はこれこれこういう罪にあたることをしたから、起訴した」という起訴状を読みます。

黙秘権の告知

裁判官が加害者に、「黙秘権」があることを伝えます。

「いいたくないことはいわなくて良い」のが黙秘権です。

罪状認否

裁判官が加害者に、起訴状の内容が事実か、罪を認めるか確認します。

②証拠調べ手続き

冒頭手続が終わると、検察は加害者の罪や悪質性を立証するため、弁護人は情状酌量の余地を主張するため証拠調べ手続きのはじまりです。

冒頭陳述

検察官は、「加害者はこういう人間で、こういう経緯があって犯行に及んでいて、事故の詳しい状況はこうだった。だから刑罰を求めるし、証拠も提出する」と詳しく主張します。

裁判官が認めれば、弁護人が意見することも可能です。

証拠調べの請求

加害者の過失を証明するために、検察は警察の実況見分書を提出したり、目撃者を裁判に呼んで意見を聞きたいと裁判官に請求します。

一方で、弁護人は「加害者の家庭環境も良いし、本人も深く反省しているので、できれば情状酌量の余地を・・・」という主張とその証拠を提出します。

お互いの証拠を認めるかどうか、証拠の正当性を争うこともあります。

証人尋問

証人尋問で呼ばれた人は「嘘の証言をしないことを宣誓」し、「嘘をつくと偽証罪という罪になる」ことを説明されてから証言します。

証言をしたあと、検察や弁護人は尋問を行い、裁判官が質問します。

被害者遺族の意見陳述

遺族も裁判官に意見をいったり、証人尋問に参加したりすることができます。

しゃべるのが難しい、加害者の顔も見たくないという場合、事前に意見書を作っておいてそれを提出しても構いません。弁護士に委任することもできます。

すべての証拠と意見がそろったら、裁判は結論へと向かいます。

③論告や求刑、判決

論告や求刑

検察と弁護人、被告や被害者の意見を聞いて最終的な結論を出すのは裁判官です。

検察は最後に加害者の落ち度を指摘し、どのくらいの刑罰を希望するかを裁判官に伝えます。これが論告と求刑です。

ようするに、「こんな悲惨な事件を起こして軽い罰なんて言語道断! 遺族のことを考えれば、このくらい厳しい罰が妥当である」といったことをいうわけです。

最終陳述

検察と同様、加害者や加害者の弁護人も裁判官に意見します。

「それでもこういう状況と事情があるので、できるだけ軽い罰で許してもらえないだろうか」とか「検察はこう主張しているが、この部分は被害者は無罪である」といった主張、加害者による「本当にすみませんでした」といった謝罪などです。

判決

判決は、裁判が終わってから15日後に決まります。

判決に納得できない場合は控訴、上告も可能です。

これが、加害者が受ける刑事裁判の流れです。