被害者遺族の対応しだいで、加害者は得をする

突然ですが、死亡事故を起こしたあと加害者に与えられる「一番重たい罰」とは、一体どんなものだと思いますか?

死亡事故を起こすと、刑事、民事、行政という3種類の責任を追求されます。

加害者としては、

  • 刑事責任を追求され、刑務所に入る(前科がつき、仕事も失う)
  • 民事責任を追求され、遺族から莫大な損害賠償を請求される(財産を失う)
  • 行政責任を追求され、免許の取り消しを受ける(運転できなくなる)

というのが、一番大変ですよね。

しかし、死亡事故を起こした加害者のすべてが厳しい処分を受けているかというと、そんなことはないのです。

理不尽に被害にあい、家族や大切な人を亡くした被害者遺族はいろいろな意味で傷つきます。

なのに、とうの加害者は執行猶予がついて仕事もやめず、保険金は少しの金額を払っただけで、金銭的な損失もない。免許は時間を置いて、お金を払って取りに行けば良い。

ぞくに「加害者天国」と呼ばれるこの状況、遺族は許すべきではありません

「悪いことをすれば、被害にあった人がなにもしなくても誰かがやっつけてくれる」のはテレビやマンガの世界だけのお話です。

加害者にしかるべき責任を取ってもらうためには、遺族が自分で動く必要があります。

今回は、どうして加害者天国がまかり通ってしまうのか、加害者天国にならないためには遺族はどんなことをすれば良いのか、を説明していきます。

どうして加害者天国が許されてしまうの?

死亡事故において、しばしば加害者天国になってしまう理由は2つあります。

  1. 加害者の証言だけで事故の内容が決まってしまいやすい
  2. 遺族が責任を厳しく追求できないと、民事責任の負担は羽のように軽くなってしまう

からです。

①加害者の証言だけで事故の内容が決まってしまいやすい

刑罰の内容は、事故の内容で決まります。

ただ、死亡事故では被害者が亡くなっているため「加害者と被害者の両方から意見を聞いて、事故の原因や状況を確認」することができません。

加害者がいいたい放題に嘘をついてもまかり通ってしまうと、例えば「本当は加害者がスピード超過と飲酒運転をしたから起きた事故」なのに、「お互いの不注意によって起きた事故」にされてしまうなんてことも起こりうるのです。

②遺族が責任を厳しく追求できないと、民事責任の負担は羽のように軽くなってしまう

民事責任の負担、つまり損害賠償請求の金額は、お互いの合意で決まります。

遺族の頭が真っ白になっているときに「大切な家族を事故で亡くしたけど、なにも考えられないし、面倒だから慰謝料は100円で良いです」という交渉をして示談書に判をついても、あとから撤回することはできません。

交渉ごとのツワモノである保険会社の人が「裁判したってこんな金額は出ないんですよ」「いま示談をしてくだされば、なんとかがんばってこの金額で・・・」といってきても、それをはねのけて遺族が適正額の請求をしなければならないのです。

加害者天国を防ぐためにできること

加害者天国を防ぐためには、とにかく冷静になって動くことが大切です。

ここでは、「加害者天国を防ぐためにできること」を紹介します。

事故現場の証拠を集められるだけ集める

死亡事故で加害者が警察や検察にうそをつき、自分の責任がないように振る舞えるのは「証拠がない」からです。

逆にいえば、事故の真実がわかる証拠、証言があれば加害者はうそを暴けます。

事故が起きた時間やそのときの天気をメモする、現場に行って写真を撮る、ビラ配りや呼びかけで事故を見ていた人を探すなど、できるだけ早い段階で証拠の確保を考えましょう。

相手の悪意、悪質性を客観的に追求できるようにする

死亡事故の加害者が、皆きちんと反省してくれるわけではありません。

人によってはちっとも悪いと思っていなかったり、遺族を口ぎたなくののしってきたるする可能性だってあるのです。

相手の悪質性を証明できれば、刑事でも民事でもより厳しい追求をすることができます。

加害者に会うときはボイスレコーダーやビデオカメラで記録を残すと良いでしょう。

損害賠償請求は裁判を前提に

損害賠償請求を自分でして、満足の行く金額を勝ち取ることができる人はごくわずかです。

少なくない数の被害者が、保険会社の人からことばたくみに誘導され、相場よりずっと安い金額で示談してしまっているのです。

受けた被害に見合うだけの金額を請求するために、請求内容を客観的に説明できる資料や証拠、そして裁判までいっても構わないぞ、という強い気持ちをもちましょう。

早めに弁護士に依頼をする

とはいえ、事故のあと悲しさや怒りを押しころし、冷静でいられる人なんてほんの一握りです。資料や証拠を集め、警察や保険会社と交渉するのも大変です。

そんなときは、早々に弁護士に依頼してしまいましょう。

お金はかかりますが、なにもかも自分でやるより精神的にはずっと楽になりますし、プロの目線と知識で厳しく相手の責任を追求できます。

加害者天国を生み出さないために、できることをやっていきましょう。