死亡事故の加害者はどんな処分をくだされるの?

「車を運転していて事故を起こし、相手を死亡させてしまった」

このように取り返しのつかない大きな問題を起こしてしまった加害者は、なんの責任も取らなくて良いのでしょうか。そんなことはありません。

死亡事故では、加害者は「刑事責任」「民事責任」「行政責任」という3種類の責任を負い、処分を受けます。

ただ、刑事だ民事だ行政だといわれても、実際のところ「加害者がどのような罰則、処分を負うのかじつは良くわかっていない」という方もいますよね。

一生犯罪やトラブルと無縁でいられれば良いのですが、事故やトラブルはいつも突然やってきます。

トラブルが起きたとき、事故の当事者になったとき、問題を解決するために必要なのはちょっとした法律の知識です。専門家になる必要はありませんが、いくつかの法知識を知っておくことで、適切な請求ができるようになります。

せっかくなので、今回は加害者の責任の取り方について知っていきましょう。

刑事責任と民事責任の大まかな違い

刑事責任と民事責任の違いを説明するにあたって、行政処分についてはちょっと横に置いておきましょう。

どうしてかというと、行政責任は被害者にあまり関係がない処分だからです。

車を運転するためには免許が必要ですよね。無免許運転や免許証の不携帯は厳しく処分されます。

この免許、じつは「公安委員会」というところが発行しています。

死亡事故が起きたとき、責任をもって免許を発行している公安委員会が「スピードの出しすぎ」「危険な運転をしていた」といった加害者の失点を調査し、罰金を取ったり反則点を引いたりして、免許の停止や取り消しをします。

これが、加害者の負う行政責任です。

行政処分は加害者がやったことで処分が決まるものであり、被害者がなにをどう言おうと処分の内容は変わらないのであまり考えなくても良いのです。

それでは、「刑事責任と民事責任の大まかな違い」を確認しましょう。

刑事と民事の違いをざっくり説明すると、「犯罪として刑罰を受けるのが刑事責任、お金で賠償をしてもらうのが民事責任」となります。

これだけではちょっとわかりづらいので、刑事責任と民事責任についてもう少し補足していきます。

加害者が負う刑事責任

刑事責任とその処分をわかりやすくいうと、「悪いことをしたら警察に捕まって怒られる」ということです。

刑罰にもいろいろあるのですが、例えば懲役刑に処されると、加害者は刑務所に入ります。

罰金刑なら罰金を支払うことになります。禁錮だと、一定期間身柄を拘束されることになります。

そして「窃盗」より「殺人」のほうが罰が重いのと同じように、死亡事故でも加害者がどんなことをしたのか、どうして事故を起こしてしまったのか、その悪質性によって罰則の重さが変わります。

「よそ見をしながら起こした死亡事故」と「飲酒し、時速30キロ制限の道を時速100キロで走った結果起こした事故」では、罪名も刑罰の内容も後者のほうが重いです。

どうして事故が起きたのか、加害者や被害者にはどんな落ち度があったのかを調べるのは警察や検察の仕事なので、遺族がなにもしなくても、加害者は刑事処分をくだされます。

ただし、遺族が加害者に厳罰を望むかどうかによって、同じ罪名でも刑罰の重さが軽くなったり重くなったりすることもあります。ここが行政責任の処分と違うところですね。

加害者が負う民事責任

刑事責任や行政責任はあくまでも加害者本人に対する罰や負担で、受けた被害の損失は一切補てんされません。

例えば、あなたのお財布が取られて相手が捕まったとしましょう。

犯人は警察から怒られて罰金の支払いや懲役などの罰則を受けます。しかし、これだけではお財布を取られて損をしたままですよね。

なので被害者は、刑事責任の処分とはまた別に、民事において「取ったお財布となかに入っていたお金を返してくれ!」と請求することができるわけです。

加害者は、民事責任として遺族から慰謝料や損害賠償を請求され、金額を交渉して最終的にいくら支払うか決定します。

請求金額が話しあいで決まれば示談、うまくいかなければ第三者を挟んで調停をし、それでもダメなら民事訴訟、つまり裁判です。

民事責任で請求できるのは、お金だけ

「民事における加害者の責任の取り方とは、被害者にお金を支払うこと」だと覚えておきましょう。

加害者を訴えて裁判に勝ったとしても、請求できるのはお金だけなのです。

「素直に悔いてほしい」「謝ってほしい」といった請求しても、相手は従う必要がないので従いません。

「あいつを死刑にしてくれ!」という請求は刑事責任の領分なので効果がありません。

どのみち、反省する人は最初から反省しているし謝らない人はなにをしても謝らないのです。

むしろ、反省していないことや謝罪してくれないことを理由に、損害賠償の金額アップをするのが民事のやり方です。

刑事責任と民事責任の違いを知っていれば、寄り道をせず最初から全力でお金を請求していけるのです。