「特別な事情」があれば、150万円以上の葬儀関係費も認められる!

「特別な事情があれば、損害賠償請求において150万円以上の葬儀関係費が認められることがある」って知っていますか?

一般的に、被害者遺族が加害者や保険会社に請求できる葬儀関係費の金額は、裁判をしても150万円が限界だとされています。

葬儀はいつか必ず必要になるもので、不幸な事故によって将来の出費が前倒しになっているだけなのだし、香典があれば金銭的な負担は軽くなるし、葬儀にかかる金額なんて人それぞれなのだから、いくら加害者が原因といってもすべての負担を押し付けるのはいかがなものか、なんて考えがあるからです。

ただ、杓子定規になんでもかんでもだれかれ構わず150万円、と処理されているわけではありません。

一般的には最高150万円であっても、葬儀の内容や費用について特別な事情があるなら、150万円以上の葬儀関係費が認められることもあるのです。

しかし、150万円以上という例外的な請求を認めてもらうためには、遺族が積極的に保険会社と交渉し、裁判で争わなければなりません。

保険会社の人に「裁判をしたって基準は150万円になっているんです。これ以上の請求をされたって、無理ですよ」なんていわれても戦えるように、今回は「実際に150万円以上の葬儀費用が認められた事例」を紹介していきます。

そのほか葬儀関係費についての詳しい事情は「加害者(保険会社)に請求できる葬儀費用と限度額」を参照してもらうとして、葬儀関係費の例外的な請求に必要な知識を抑えていきましょう。

150万円以上の葬儀関係費が認められた実際の事例

似たような事例もあるので、今回紹介する事例は3つです。

参考までに、いつどこの裁判所で出された判決なのかも記載しておきますので、興味を引かれた人は調べてみても良いでしょう。

170万円の請求が認められた事例

保育園に通う、3歳の女の子が亡くなった事件です。

とても幼い子供が亡くなっているという被害のいたましさと、通常幼い子供が亡くなることは想定されるものではなく、遺族のショックがとてつもなく大きいことから、「遺族は手厚い葬儀をしてもおかしくない」として葬儀関係費170万円の請求が認められています。

名古屋地方裁判所、平成17年3月29日の判決です。

185万円、212万円の請求が認められた事例

15歳の女子高生2人が亡くなった事故の事例です。

事故の原因は、加害者の無理な追い越しでした。

事故が起きたときは雨が降っていて滑りやすくなっていたにも関わらず、加害者は時速50キロ制限の道を90キロから100キロで爆走。追い越しをしようとして、まえを走っていたタクシーに衝突しました。

追突されたタクシーは街灯にぶつかり、乗っていた女子高生2人が亡くなっています。

事故の悪質さと被害の大きさから社会的な注目を集めたこと、被害者はまだ高校生であり、葬儀を大規模にせざるを得なかったという理由から、それぞれ185万円、212万円の葬儀関係費が認められています。

高知地方裁判所、平成12年5月18日の判決です。

250万円の請求が認められた事例

59歳の専業主婦の女性が亡くなった事故の事例です。

被害者は、春の交通安全のボランティア活動をしている最中、歩道を暴走してきた加害者にひかれて亡くなりました。

交通安全運動に協力しているという事情から、被害者の女性は警察協力殉職者として扱われています。

残されたご主人は妻の名誉のためにも手厚く弔う必要があると考え、500万円以上かけて葬儀を行い、葬儀関係費を請求した結果、250万円の請求が認められました。

さいたま地方裁判所、平成24年1月31日の判決です。

150万円以上の請求は裁判で勝ち取ろう

今回ご紹介した事例は、すべてが実際に起こった事故であり、「遺族が裁判をして争ったから認められた」ものです。

「裁判なんて・・・」と不安になってしまう方もいると思いますが、死亡事故の損害賠償請求においては裁判したほうが良いケースも多いです。

保険会社は、基本的にどうにか支払う金額を少なくしたいと考えています。

だからこそ、裁判までいかないように強気の交渉を行い、示談のうちに話しをまとめてしまおう、というやり方をする担当者が少なくないのです。

裁判で勝てば300万円請求できる人も、示談で押し切られてしまっては150万円の請求で話が終わってしまいます。

被害者が子供なので遺族が冥福を祈るために手厚い葬儀が必要だったり、社会的地位が高くて弔問客をたくさん呼ばなければならなかったり、大きな葬儀が必要で実際に相場より高額な葬儀費用を払っていれば、裁判で相場以上の葬儀関係費が認められる可能性は十分あります。

遺族に必要なのは、失意のなか「適切な請求をするためなら、裁判だってするぞ!」という強い気持ちです。

「自分たちの身にふりかかった事故は、特別な事情にあたるのか」「裁判をして、果たして勝てるのか」を判断するのは弁護士に任せてしまいましょう。

被害者が泣き寝入りをする必要はありません。しっかりとした葬儀をあげて故人を弔い、かかった費用を請求しましょう。